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外国語系の記事が多くなりそうです。

「ブラック企業大賞」はブラック企業を正当化する

昨日「ブラック企業大賞2018」が発表され、三菱電機が大賞を受賞した。「WEB投票賞」には財務省が選ばれ、「特別賞」には日立製作所・日立プラントサービスが選ばれることになった。

 

 このようなイベントは世の中に対し、問題提起をするという点では一見すると良いように思える。

 

 ブラック企業というネガティブなイメージと○○大賞受賞というポジティブなイメージを組み合わせることによって印象に残りやすくなる。

 

 そうすることで「ブラック企業っていけないよね」という雰囲気を作ることができる。だが、その実「ブラック企業大賞」というものはブラック企業を正当化しているである。

 

 

 

ブラック企業大賞」というイメージ

 「ブラック企業大賞」という言葉を聞いてあなたはどのような印象を浮かべるだろうか。

 

 私は何か軽い印象を受けてしまうブラック企業は本当は悪しきものであり、排除しなければならない組織なはずだ。決して正当化されてはいけない。

 

 それなのに「○○大賞」というイベントによってその深刻さというものがなくなってしまっている。これでは「ブラック企業は潰さなければならない」という意識が薄れてしまう。

 

 

 「三菱電機ブラック企業大賞受賞」。三菱電機は果たして労働環境を改善する意識が芽生えたのだろうか。むしろ「別に社員にブラックな働かせ方をさせても世間からはお咎めがないから大丈夫だ」という考えを生じさせ、ますますブラックな労働環境を生み出してしまうのではないだろうか。

 

過労自死した労働者やその遺族を愚弄している

 「ブラック企業大賞」というイベントを息子や娘が過労自死した遺族はどのような気持ちで見ていると考えたことがあるだろうか。

 

 私は未婚なので親心というものはよくわからないが、仮に親だったとしても良い気持ちにはならないと思う。むしろブラックな労働が正当化されているような気持になり不愉快な、いや、もっと言うと怒りがこみあげてくる。

 

 労働によって人が死んでいるということを忘れてはいけない。

 

 1人の人間の生命がこの世の中から消えたという事実を忘れてはいけない

 

 愚かな経営者、会社によって大事な息子娘の命が奪われたのである。

 

 この世界において唯一無二の息子娘の命が奪われたのだ。もう彼ら彼女らは戻ってはこないのだ。起きている事態は極めて深刻である。

 

「大賞」を受賞した三菱電機は2018年秋、14~17年にかけて、男性社員5人が長時間労働に起因する精神障害や脳疾患を発症し、相次いで労災認定されていたことが発覚した。このうち3人には裁量労働制が適用されており、その中の2人は過労自殺を遂げていた。

 自殺した男性の1人は技術職についており、システムの不具合を修正するため月100時間を超える残業を数カ月繰り返していた。

18年版「ブラック企業大賞」発表 大賞は三菱電機 長時間労働が常態化、過労自殺が2件発生(ITmedia ビジネスオンライン) - Yahoo!ニュース

 

 

 男性社員5人が長時間労働精神障害や脳疾患、2人が過労自殺、自殺した男性の1人は月100時間を超える残業。

 

 もう一度聞く。過労死した子を持つ親は一体どのような気持ちで見ているのだろうか。

 

 ブラック企業は「ブラック企業大賞」というエンタメではない。ブラック企業は処罰され排除されるべき存在である。

 

 こんなことをやっているようでは企業は反省などしないし、労働者の労働環境の改善をしようとする意識など芽生えることはないだろう。

 

 私たちは起きている現実の深刻さに気付かなければいけない。このようなイベントをやっていること自体極めて常軌を逸していると言わざるを得ない。

 

 まさに「一億総火の玉」であり、「一億総活躍社会」である。「働き方改革」とは一体何なのか。

 

 

 私たちの意識が変わることがない限り労働環境が改善することはないだろう。愚かな経営者、会社の暴走を許してはいけない。

 

労働に対する国民意識の低さ

 ブラック企業を「ブラック企業大賞」とエンタメすること自体、国民意識は極めて低いと言わざるを得ない

 

 何ども言うが、ブラック企業は排除すべき存在であり、淘汰すべき存在である。決して正当化してはいけないはずである。

 

 ブラック企業のエンタメ化を受け入れているということは、私たちは事態の深刻さをわかっていない。

 

 無意識のうちに「日本の労働環境だからしょうがない」と半ばあきらめているのではないか。

 

 その諦め意識によって、愚かな会社、経営者が暴走しているのである。

 

 私たちが現実を受け入れれば受け入れるほどに日本の労働環境は悪化していく。しかもその悪化している労働環境が「ブラック企業大賞」として正当化される。

 

 

 今よりもより一層ブラック企業及びそれを跋扈させる社会に対して私たちは厳しい目を向けていかなければならない。

 

 ブラック企業はエンタメ化されるものではなく、潰すべき存在である。

 

 もしブラック企業をしかたないとあなたが考えるのなら、次の犠牲者はあなたになるかもしれない。