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【読書】『上達の法則』②ー上級者と中級者の違い

 

 ある物事に対する上級者と中級者のレベルの差は一体何なのかについて考えた場合、記憶能力が高いかどうかの問題が挙げられます。

 

 上級者は中級者に比べて格段に記憶能力が高い。

 

 昨今、暗記教育に対する批判が高まっていますが、上級レベルに到達するためには覚えるキャパシティが高くなければいけないのです。どんなに理屈や理論を理解し、地頭を鍛えても、最後にモノを言うのは記憶する力であるといえます。

 

 上級者は中級者に比べて、あたらしく記憶する能力が格段によい。たとえば、将棋の上級者は、自分の指した将棋を、次の日になっても再現することができる。それだけではない。自分の隣でさしている他人の対局も、終わった後、記憶をしていて、正確な感想を述べたりすることもできる。

『上達の法則』p.60

 

 

 記憶力が高いことでたくさんの情報をインプットすることが可能になり、情報量が増えていくほどに知識の視野が広まっていき、高度なレベルに到達していくことができるのです。

 

 また、大量暗記は、ワーキングメモリーから長期記憶の形成を日常的に促すため、それを促進するための条件、すなわち、コードやコードシステム、評価システム、自我関与などを間接的に強化する。

 人により、ものにより、この大量暗記の期間の長さは、一か月から一年くらいまでといろいろあるだろうが、この大量暗記の時期を経て、さまざまなものが安定するのである。その安定は、ひとつには、根幹部分の知識が増えること、もうひとつには、暗記のプロセスによってこのような認知システムが鍛えられることである。

同上p.214-215

 

 引用しまくりで申し訳ないのですが、確かに大量暗記を試みることにより、その分野の知識吸収が容易になり、理解が安定的になると私は感じています。

 

 私の場合は主に外国語なのですが、フランス語は学んだ当初は全く意味不明であり、そもそも文字すらまともに読めない状態でした。しかし愚直に学習を継続し、単語や文法、例文などを暗記していったら自然と読めるようになり、長文も理解できるようになりました。

 

 結果、仏検2級に合格できたのですが、もし日本の学校教育のごとく道を誤り(!?)、「とりあえず理屈やロジックを理解するのが先っしょwww 暗記なんてオワコンwwww」などと言っていたら今もまだフランス語は読み書きできていなかったでしょう。

 

 確かに理屈やロジックも大事です。しかしその前に前提となる知識を覚えていなければ理屈やロジックが全くちんぷんかんぷんで理解不能になってしまいます。

 

 昨今はAIの台頭で「知識なんてオワコンwwww AIが全部やってくれるんだから知識を記憶するなんてナンセンスwwwwww」と言われていますが人間の能力を高めるのは結局のところ記憶力なのです。

 

 ラクな方へ向かうほど頭がパーになり、結果、何も考えることも覚えることも決断することもできない人間になってしまうでしょう。

 

 話が逸れましたが、上級と中級を分かつものは記憶力なのです。

 

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