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『真説老子』──なぜ競争社会に身を置くと不幸になるのか

 現代においては競争社会に身を置き、経済的、社会的成功を収めることが幸福になれるか否かの基準になっているように思います。

 

 受験や就活に勝ち続ける、あるいは起業家として成功を収めれば「勝ち組」であるとされる。一方で競争に負け続ける、あるいは最初から競争社会に身を置かず経済的、社会的成功を求めない生き方は「負け組」であるとされます。

 

 しかし、「勝ち組」であるとされる人々がなぜか不幸になるという現象が多々起きるのも事実。家族が病気になったり、離婚したり、自分自身が事故に遭ったりと。最悪事件に巻き込まれ殺害されるという出来事も起きています。

 

 おそらくあなた自身も「勝ち組」とされる人々が不幸になる、というのはなんとなく感じているのではないでしょうか。けれども科学的エビデンスや何らかの法則でも説明がつかないことなので、「まあそんなもんだろ」ぐらいに思っているかもしれません。

 

 競争社会に生きる「勝ち組」が一体なぜ不幸になるのか。この現象について『真説老子』では「タオ」(道)という概念を用いて説明しています。

 競争社会に身を置き、勝ち続ける人生が良いか悪いかはともかくとして、「タオ」を知ることはとても役に立つと思います。

 

 

「タオ」とは

万物はゼロに帰る

 「万物はゼロに帰る」。この言葉だけを聞くと意味不明でしょう。『老子』に関する書籍は多々ありますが、その多くが結構曖昧に書かれていて、「ゆるく生きようぜ!」みたいなことを訴えようとしている感じがあります。

 

 ゆえに「タオ」なるものがよくわからずに終わってしまうという。

 

 『真説老子』によると、「タオ」における「万物はゼロに帰る」とは

 プラスに対しては、それを減らすマイナスのベクトルが働き、マイナスに対しては、それを増やすプラスのベクトルが働く」 『真説老子』p.46

 と書かれています。

 

プラスの世界とは

競争に身を置く世界

 「タオ」で言うプラスの世界とは、競争に身を置く世界のこと。受験や就活、会社に入社後の出世競争などがその典型と言えます。

 

 資本主義下の社会では競争に身を置き、経済的、社会的成功を収めることこそが幸福な生き方であると説かれています。

 

 生活が豊かになると欲しいものが買えますし、社会的信用が増すと自分自身の権威性が上がります。そのようなことからプラスの世界に生きることこそが理想という価値観がやはり強い。

 

マイナスの世界とは

競争社会に身を置かない世界

 マイナスの世界とは競争に身を置かない世界。受験や就活、大企業や外資系企業の出世レースに一切参加せず、ゆるく生きることをマイナスの世界と言います。

 

 と言っても、人生で一度もプラスの世界(つまり競争)に身を置かずに生きる人はいないでしょう。おそらく、人生のどこかのタイミングで競争社会から身を引き、悠々自適に生きるパターンが多いように思います。

 

 現代の社会ではマイナスの世界に生きることは「自分の市場価値を下げる」、「人生からの逃げ」、「成長を望まない愚か者、人生の落伍者」(Xでそんなことを言っている人がたくさんいる)と否定的にとらえられているように感じます。

 

なぜ競争社会に身を置くと不幸になるのか

マイナスの作用が働く

 では記事のタイトルに書いたように、なぜ競争社会に身を置くと不幸になるのか。

 

 既に述べましたが万物はゼロに帰るという法則があり、プラスに対しては必ずマイナスのベクトルが働くというのが理由。

 

 富や名誉を求める生き方はプラスを増やそうとする行為です。しかし、プラスを増やそうとすればするほど、「タオ」におけるマイナスの作用が働き、ゼロに向かうようになるのです。

 

 上記のことを具体的に言うと、プラスを増やそうとする人間に不幸が起きる。事故とか病気とか事件など。

 

 プラスの世界で生き続ける人々は絶えず競争し、多くの勝利を収めています。

 

 しかし、見方を変えてみると、多くの勝利を収めたということは、それだけ負けた人もいるわけです。

 

 マイナスの作用が働くとは、勝利を収めた人間に対して、負けた人たちの憎しみや怒りの感情が降りかかること。

 

 勝利を収めた人間に向けられる憎しみや怒りの量が一定量に達すると、不幸な出来事となり、勝者に襲い掛かるというのが「タオ」の理論。

 

 日本でも富や名誉を求める生き方こそが幸福であると言われていますが、そのような生き方は災いを引き起こすのです。

 

 マイナスの世界では怒りや憎しみの感情が向けられることがないので、マイナスの作用が働きません。が、マイナスの世界にいるのでプラスの作用(何らかの恩恵)は働きます。

 

 そういう意味では、日本に氾濫している自己啓発はほとんど人間を不幸にすると言えるかもしれません。

 

まとめ

 競争社会に身を置き続けるとマイナスの作用が働き、不幸な出来事が起きやすくなります。受験や就活での勝利、出世での勝利、これらの勝利には必ず負けた人間がいるということを忘れずにいたほうがいいでしょう。

 

 まあ忘れた結果が、生命保険会社の不祥事や全裸シャンパンタワーなのかもしれませんが…。