大学の学群の名称と言えば、MARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)や早慶上智、関関同立(関西学院大学・関西大学・同志社大学・立命館大学)などが有名である。
多くの大学受験生は上記の大学に合格することを目指し、日々勉強していることだろうと思う。
だが、ここ数年で新しい大学群が生まれている。それがSMART、RJKである。私も興味ありまくりだったので色々調べてみると、今の受験のトレンドはSMART、RJKになっているらしい。
なんのこっちゃさっぱりわからない人もいるだろう。私も同感である。なのでSMART、RJKとは何かを説明したうえで、果たしてそれらの大学群が今後世間に浸透していくのかを考えていきたい。
SMART・RJKとは何の略?
SMARTとは上智大学(上智の英語表記Sophia University)、明治大学(Meiji)、青山学院(Aoyama)、立教大学(Rikkyou)、東京理科大学(Tokyo University of Sciense)の頭文字をとったものである。
MARCHと異なるのは法政大学と中央大学をハブき、上智大学と東京理科大学を加えた点だ。法政と中央にとってみれば迷惑なこと極りないし、上智と東京理科からしてみればいきなりMARCHレベルの大学群に組み込まれたので、寝耳に水といったところだろう。
RJKとは立教大学(Rikkyou)、上智(SMARTはSophiaの頭文字を使っているがここでは普通にJyouchi)、慶應(Keio)の頭文字をとった大学群の名称である。
このRJKは立教大学自身が主張したものである。
──「立教が変わる」ことを象徴する、分かりやすいキャッチフレーズはありますか。近畿大学は「早慶近」(早稲田大学、慶應義塾大学、近大)という大学のくくりを使って物議を醸しましたが、結果的に存在を知らしめました。
「脱MARCH」宣言をします。MARCHを卒業して、「RJK」になります。
──RJK? JK(女子高生)みたいですね。
立教、上智大学、慶應。彼らをキャッチアップし、追い抜いて、アジア、世界へとステップを踏む。
明治に抜かれた立教が「脱MARCH」宣言で目指す「RJK」とは | 今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ | ダイヤモンド・オンライン
まあMARCHとかSMARTとかそういう大学群を作ること自体私はナンセンスだと思うのだが。
以上がSMART・RJKの略である。次になぜこれらの大学群が広まりだしたのかを説明していく。
広まった背景
なぜSMART・RJKなどという大学群が広まり始めているのか。それは大学入試の変化が背景にある。
これまでの大学入試は偏差値によって受験先を決めるのが主流であった。もっと言ってしまえば「筆記試験が難しい大学」に合格することが最高の価値であるとされてきた。
しかしそのような「偏差値で選ぶ」大学受験はもはや時代遅れになっているという。
これからは偏差値ではなく、自分の興味関心のあることが学べる大学学部を進学先として選ぶのが主流になっていくという。
で、そういう時代の流れの一環として新たな大学群SMARTやRJKが広まっていった。要するに偏差値による括りではなく、大学の良さそれ自体に目を向けた進学選びをしようというのである。
センター試験も2020年に廃止され、2021年からは新たな試験に移り変わる。そういった変化も含め、もう偏差値ではなく、自分の興味関心のある大学学部で進学先を選ぼうというのが根底にあるのだろう。
SMART・RJKの問題点
「偏差値にとらわれない」という意味で新たな大学群が生まれるというのは悪いことではないと私は思う。
偏差値にとらわれないという意味では。
しかしSMARTやRJKにしても結局同じような「レベル」の大学で固めている。
前出の石原さんは「今後10年で偏差値による大学選びは終わる」と見る。AO・推薦入試の増加や20年度入試から始まる「大学入学共通テスト」の実施などから、将来の夢や学びたいことと、大学が求める人物像や教育環境とを重ね合わせ、大学を選ぶようになるからだ。
MARCHはもう古い 注目の大学グループは「SMART」だ! (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
と言っておきながら結局偏差値(今後は偏差値という言葉は消えるかもしれないので以後レベルという言葉にする)による大学選びが変わっていない。
もし本当に大学のレベルで進学することがナンセンスになるのなら、日大や駒沢大学、東洋大学、専修大学も明治とか立教、青学などとコラボして新たな大学群ができてもいいはずである。
それにも関わらず、日大などを含めず、「似たような」レベルの大学同士で大学群を作っているようでは結局何も変わっていない。
「大学のブランドにとらわれるのはいけない」と言っておきながら、大人たちは受験生に対し「大学のブランド」で選ばせようとしている。
ハブられた法政大学・中央大学は今後どうなるのか
SMARTから見事にハブられた法政大学・中央大学だが(それでもSMART+CHというアホな括りがあるらしい。読み方はCHと書いてチャンネル。ダサ!!!)、私はこの2大学は今後隆盛を極めると思う。
法政大学は田中優子総長の下で大学の改革が進められている。授業の時間を1コマ100分にしたりして「勉強しない」大学生を排除しようとしたり、新校舎を建設することによって大学のキャンパスをより良くしようとしている。
結果としてここ数年の法政大学の志願者は急激に伸びている。
中央大学も法学部が2023,2024年にキャンパスを都心のキャンパスに移すことを既に発表している。中央大学の法学部が都心のキャンパスに移転したらレベルが爆上がりし、「SMARTざまあ」みたいな感じになるだろう。
したがって法政大学と中央大学は今後は勢いに乗っていくだろう。
SMART・RJKは今後世間に浸透していくのか
と言われれば現実としてなかなか難しいと思う。なぜかと言うと、まず言っていて恥ずかしい。
「SMART(賢い)にオレ(私)進学する!」とか「RJKのどれかに受かればいいな…」とか言っていて恥ずかしい。
特にRJKだ。100歩譲ってSMARTなら浸透する可能性もなくはないが、RJKはない。だってJKですよ!?JK。
こんな言葉を受験生が頻繁に使っていたら、変人である。いや仮にRJKが広まるとしてもRはハブられるだろうと思う。語呂の悪さから。
やみくもにオサレそうな言葉を広めようとしたところで、それにネーミングセンスがなければ世間に浸透させることは難しい。
そういう点を考えるとMARCHや早慶上智、関関同立、日東駒専という大学群の名称は最強である。なぜなら言っていて恥ずかしくないから。
したがってSMARTやRJKは一時的には流行るものの市民権を得るには難しいだろう。
それに上智大学と東京理科大学を明治大学とか立教大学の同列の括りに入れるのは受験生を勘違いさせる危険性がある。
つい同じ大学群だから「レベル」が同じだと錯覚してしまうが上智や東京理科の受験の難易度はやはりワンランク上である。明治や立教の受験の勉強量では合格するのは難しい。
早慶よりの勉強をしないと合格するのは難しい。それは受験を経験した人ならよくわかるだろう。
受験のシステムは今後変わっていくだろうが、それでも入試の難易度みたいなものは今後もなくならないだろうし、筆記試験は相も変わらず重要性を占めるような気がする。
そういうレベル的な問題で見ても、SMART・RJKが市民権を獲得することは難しいだろうと私は予測する。