マラソンの元日本代表が窃盗で捕まったらしい。というのは知っている人も多いだろう。後にわかったのは万引きをしてしまった人は窃盗症だったということだ。
つまり、まあ難しいのだが、明確な悪意を持ってモノを盗んだわけではなく、一種の病気の症状あるがゆえに盗んでしまったのだということである。
窃盗症とは何なのか。詳しく読み解いていこう。
窃盗症とは
窃盗症とは通常クレプトマニアと呼ばれる。本来の窃盗は何らかの目的があってするものであるが、窃盗症は盗むという行為それ自体に目的を持ってする行為である。
もっと簡潔に言うと、窃盗は例えばコンビニなどに入ったら「これを盗もう」みたいな目的を持って行う。一方の窃盗症は盗むことのドキドキ感を味わうために行う。つまり一種のスリルを求めて行う。
この窃盗症、実は摂食障害が原因で起こることもあるという。
赤城高原ホスピタルの竹村道夫院長によると、摂食障害による「病的な飢餓感」により、患者には身の回りの食品や、自分のお金などがなくなることに恐怖心を抱く「枯渇恐怖」が生まれ、そのためお金を減らさずに食品をストックする「ため込み欲求」の衝動に駆られ、それが「窃盗行為」につながるという。
窃盗症という病気が単独で起こるわけではなく、摂食障害も付随して窃盗症が起こるのである。
まとめると窃盗症というのは病気なのであって本人に意思に反して生じてしまうのだ。
ちなみに摂食障害になりやすい人の特徴は親から過度な期待を受けていたり、親の仲が悪かったり、身近な人がダイエットをしていたり、痩せる必要のある仕事をしているというような環境にいるとなりやすいという。厚労省のホームページより。
摂食障害|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
窃盗症の人を非難することはできない
モノを盗んだ以上刑罰などがどの程度影響を及ぼすのかはわからない。しかし、窃盗症という病気を抱えた人を非難することはナンセンスであろう。
ネットやテレビなどを見ていると、どうも批判的な内容のモノが多い。繰り返すが窃盗症は一種の病気である。そのような病気を抱えた人を無思考に批判することはあまりに酷である。
それはアルコール中毒やギャンブル依存症の患者を非難することと同じである。それらにハマってしまった彼らにも確かに問題はあるが、病気である以上治療しなければならないモノなのである。