教育評論家の尾木ママこと尾木直樹氏が6月12日のブログで「高校や大学入試を廃止して、中高一貫にすべき」ということを書いたそうです。
こちらがその内容ですね~。↓
尾木氏が高校入試・大学入試を廃止して中高一貫にすべきであると考える理由は
・中高一貫にすることで多様な選択肢ができる
・思春期の真ん中で競争試験で輪切りにするメリットってあるの?
・日本はテスト信仰が強い
・弱肉強食の社会的雰囲気も原因は試験にあるのではないか?
とのこと。
(上記のアメブロから要約)
確かに尾木氏の言うように日本の入試はいろいろと問題があると思います。
しかし、私は高校入試・大学入試を廃止することには反対の立場を取ります。
その理由をこれから書いていきます。
高校・大学入試の廃止に反対する理由
入試で人生報われる人もいる
日本は、自分が生まれた家庭環境が貧しくても、高校や大学の入学試験(一般入試)に合格することによって、自分の境遇を劇的に変えることができます。
大学入試に関していえば、日本はなんだかんだ言って学歴社会であるので、レベルの高い大学を出ていれば、社会では優位に生きることができます。
個人としても、難関の大学に合格することによって人生レベルで自信をつけることができます。
小学校の時から必死こいて勉強して難関大学に合格すれば、今までの勉強にフルコミットしてきた時間というのは間違っていなかった!ということを実感するでしょうし、もし中学入試や高校入試で失敗したとしても、大学入試で成功を収めれば今までの失敗をチャラにすることができます。
受験勉強は努力した分の結果が一番出やすいんですよね。
スポーツや芸術はいくら努力しても、最終的には才能のある人に勝つことは難しいでしょう。
また、例えば公立の中学校で自分が頭の悪いバカどもにからかわれたり、いじめられていたとしても、しっかりと勉強して難関校に合格し、進学すれば、そういう公立中学校のバカどもとも一生オサラバすることができます。
それに偏差値がある程度高い高校は、他者に対して寛容な人も多く、いじめをしようという発想をする人はほとんどいないので快適な生活を送ることができます。
なので、良質な人間関係を築くことができる。
このように高校入試・大学入試は、個人の人生を大きく変える可能性を秘めているので、廃止してしまうと個人の努力が発揮できないだけでなく、いじめをすることをいとわないクソ人間から逃れられなくなるんですよねぇ。
逆に勉強しなくなる
高校入試や大学入試を廃止してしまうと、生徒は逆に勉強しなくなると思います。
試験というのは「点取りゲーム」的な要素があり、やってみると結構面白いです。
入試の問題というのは、学校の定期試験とは異なり、しっかりと対策を取らない解くことができません。
難関校になればなるほど、勉強量をこなさないといけないし、また「正しい努力」をしなければなりません。
これは確かにしんどいっちゃしんどいですが(特に大学入試)、ゲームと同様、難しいレベルをクリアするほど達成感を感じることができます。
達成感を感じながら、かつ学力も高めることができるというのは、このうえなく充足感をもたらします。
学校の定期テストでも達成感を感じるだろ!
という人もいると思いますが、ぶっちゃけ学校の定期テストってクソ簡単じゃないですか。
(高校は進学するレベルによって変わってきますが、少なくとも公立の中学校はクソ簡単です)
そのうえに一般入試と異なり長期的な戦略がいらないです。
だから、学力がない生徒と学力がある生徒であまり差がつかないんですよね。
学校のテストはめちゃくちゃレベルの高い進学校でもない限りは、ほとんど暗記するだけでどうにかなります。
そのことによって確かに高得点を取ることはできますが、上位の生徒にとってはものたりなさを感じると思います。
定期テストを否定するつもりはないですが、定期テストだけだと勉強のモチベーションを維持するのが難しくなる可能性があります。
結果、勉強のモチベーションが下がってしまうんですよね~。
学力が身につかない
勉強するモチベが下がるという理由でも少し言及しましたが、入試を廃止して、定期テストオンリーにしてしまうと、学力が身につかなくなる可能性が出てしまいます。
学校の定期テストはほとんど1,2週間程度の「付け焼刃の暗記」でどうにかなってしまいます。
付け焼刃の暗記なのでテストが終わってしまえばその内容はすぐ忘れてしまいます。
それに加えて内容を深く理解しなくても点数が取れてしまうので、思考力も身につかないです。
一方、入試の問題というのは、当然のことながら、付け焼刃の暗記ではどうにもなりません。
とりわけ理数系の科目になると、定期テストみたいに「パターン暗記」しただけでは全く歯が立たないです。
(高校入試はかろうじてどうにかなるかもですが、大学入試では無理)
なので、勉強に対して真摯に向き合わなければいけなくなります。
そうやって手を抜いて勉強する人生を歩むのと、しっかりと勉強に向き合う人生を歩むのとでは人生が大きく変わってきます。
入試というのは、受験生に対して本気の勉強を課させるという側面もあるので、重要だと思います。
尾木ママの主張もわかるが…
尾木ママの入試廃止論に対しては反対の立場を取ってきましたが、それでも尾木氏に共感できる点はあります。
それは日本はテスト信仰が強い点です。
「テストによって人生報われる」ということは既に書きましたが、それでもテストを重視しすぎる傾向は不健全だと思います。
社会に出ると「過去の栄光にすがりつく老害」が一定数存在します。
つまり過去の受験の成功体験をいまだに他人に自慢する老害が今は少数だと思いますが、まあいます。
成功体験をポジティブにとらえるのは悪いことではないですが、そうやって過去の出来事にしか目を向けず、現在未来に対して思考をフォーカスしないのは見ていて見苦しいです。
それにテストが得意だからと言って、それが社会的有能さを示すものではないのに、やたらとテストが得意な人を崇め奉る傾向があります。
それはゴールデンの時間帯に入っているクイズ番組を見てればわかります。
確かに彼らは優秀であることに間違いはないですが、それでもテストができる=全てが有能であるとは限らないです。
しかし、それでも高校入試や大学入試は廃止しない方がいいと思います。
既に述べましたが、入試を突破することで人生が報われる人もいますし、勉強に対するモチベーションを高く保つことができるというメリットがあります。
そのことによって自己肯定感が高まり人生を切り開くことができるのも事実です。
なので、入試というの社会的な位置付けとしては非常に重要だと思います。
したがって私は高校入試・大学入試は維持したほうがいいかと。
今日は以上です。