Sakuはゆるく生きる

外国語系の記事が多くなりそうです。

「役に立つこと」しかできない人間は家畜と同じ

 「すぐに役に立つ!」

 「ムダを省く!」

 「最短で収入を上げる!」

 「役に立つ教養!」

 っていう言葉が流行ってるじゃないですか。

 今の日本って。

 

 世間的には役に立つことは良いのかもしれないけど、私的になんか違和感を感じていたんですよね…。

 で、その「違和感」の正体をハッキリさせるべく過去記事でいろいろ書いたんですが…

www.penserblog.net

 

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 中野信子さんの『努力不要論』という本に私の感じる違和感が書いてありました。

 

 それは、、、タイトルにもしましたが、「役に立つこと」しかできない人間は家畜と同じ

 

 なぜそう言えるのか。

 というと、人間の魅力は本来役に立たないこと、一見すると非合理だと思う行動をする点にあるからです。

 誤解を恐れずに言うと、スポーツや芸術は社会の役には直接的には立たないです。

 (心を豊かにするとか間接的な影響はありますが)

 他にもどこかの民族の土着の遊びであったり、呪術や占い(それらが良いか悪いかは別として)も役に立たないですが、それらは人間にしかできない行為です。

 

 一方、人間以外の動物はそのような「役に立たないこと」はできない。

 人間以外の動物ができるのはエサを取る、子孫を残すなど生存するうえで「役に立つこと」だけです。

 確かに猫や犬は人間がいれば、遊ぶことはできますが、人間ほど遊ぶことはできないです。

 

 中野信子氏は『努力不要論』でこのように言っています。

じつは、人間以外の多くの動物のほうがずっと合理的に行動します。エサを取る、子孫を残す、生き延びるために可能なあらゆることを試す。一見、損をしかねないような非合理的な意思決定をするというのは、人間に独特のもので、高度な機能なのです。『努力不要論』p.84

 

 繰り返しますが、人間を人間たらしめているのは、非合理的なこと、役に立たないことをすることにあります。

 

 そもそも役に立つことは誰にでもできることです。

 役に立つことは目的が明らかなうえに、戦略も多く示されているので、それらの則って努力していけば、誰でも達成することができるのです。

 

 本当に難しいのは、役に立たないことをいかにすることができるかなんですよね。

本当に難しいのは、役に立たない部分をいかにリッチにしようとする努力です。

この不景気に何を言っているのだ、という人は多いでしょう。でも、そういう反論をしてしまうことこそが野蛮です。役に立たないことができるのは、人間が高度な文化を持つ証だからです。

…(省略)

エジプトのピラミッドも中国の莫高窟(ばっこうくつ)の壁画もロシアのボリジョイ・バレエもウィーン・フィルムもゴダールの映画も手塚治虫の漫画も、生きていくうえでは全く必要のない、場合によっては贅沢な事物です。しかし、だからこそ、人間そして人類にとって、大切なものなのです。p.86-87

 

 今の日本で流行している勉強やお金儲けというのは極めて野蛮な教養なのです。

 もし、国民がこのような「教養」を真に受け止め、実践すると、日本という国が衰退し、ますます野蛮な国に成り下がってしまいます。

 

 利己的で野蛮な社会だからこそ、人間の非合理的な部分に目を向けるべきだと思いますね。

 

 以上です。

 

 中野信子さんの本についてはこちら↓の記事でも言及しています。

 

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